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「っと…このへんにあったよな…うん、これこれ」
光輝は道具箱の奥から黒い筒のようなものをひっぱりだした。スイッチを押すとカシャンと音がして、先端から金属の棒が飛び出す。
「ん、なかなかいい感じだな。いや、ちょっとメンテがいるか?」
独りごちていると、扉の開く音がした。怜が部屋に入ってきたのだ。
「ほんとにやる気かよ兄貴」
「言ったろ、決めたって」
「別に止めないけどさ…止めない、けど…」
「はっきり言えって」
押し黙る怜。光輝はほほ笑んでいる。
「分かってる。心配すんなよ、無理はしねーから」

訓練場になっている総帥の屋敷の庭から、ひっきりなしに銃声が聞こえてくる。
「脇締めろ。片目つむるな」
「こう…?」
「そう、それでいい」
明莉の射撃の練習を北斗が指導しているのだった。
「ぐらついてる、左手でしっかり支えろ」
「ん、」
 明莉が標的に意識を集中しようとすると、遠くから声がした。
「明莉ー!北斗くーん!」
顔をあげると、みなみが翼の車椅子を押してやってきていた。
「翼君、だいぶ落ち着いたから。二人と話したいって」
「……」
顔を曇らせる二人に翼は笑いかけた…ぎこちなくではあるが。
「大丈夫だよ。僕頑張るから」
「うん…早く歩けるようにならなきゃね」
「それもあるんだけどね、早く…言えるようになりたいんだ。『生きててよかった』って」
「えっ!?」
思わぬ言葉に驚く明莉。それはみなみも、そして北斗も同じらしかった。
翼は困ったように笑う。
「陸上、だめになっちゃったけどさ。それでも、死んじゃうよりは生きてたほうがいいんだよ、きっと。
 心から、そう言えるようになりたいんだ…今は、まだ無理だけど」
「翼君…」
「だからね、二人にありがとうって言っておきたかったんだ。助けてくれてありがとうって」
「翼…」
 北斗は少し泣きそうに顔を歪めた。しかし明莉は慌てる。
「でもっ、私なんにもできなかった…」
「ううん、明莉ちゃんは頑張ってくれたもん。僕の手、必死に握って離さなかったじゃない」
翼は今度こそにっこり笑った。
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